海外旅行で欠かせないのが、現地でのスマホの通信手段です。以前はポケットWi-Fiや現地のSIMカードが定番でしたが、最近は、スマホに内蔵された「eSIM(イーシム)」を使う方法が広がっています。QRコードを読み取るだけで設定でき、SIMカードの差し替えが要らないのが特徴です。

この記事では、eSIMの仕組みと物理SIM・ポケットWi-Fiとの違い、出発前に確認したいこと、選び方、iPhoneでの設定の流れ、つまずきやすい点をまとめました。

なお、この記事は公式情報と公開されている解説をもとにまとめた「選び方のガイド」で、特定のeSIMサービスをおすすめするものではありません。個別のサービスの評価は、別の機会に改めて調べてご紹介する予定です。料金や仕様は変わりやすいため、2026年10月時点の情報として、最新の内容は各サービスの公式ページでご確認ください。

eSIMとは何か

eSIMは、スマホにあらかじめ内蔵されているデジタルのSIMです。Appleの公式サポートでは、物理的なnano-SIMカードを使わずに、通信事業者のプランを利用できる仕組みと説明されています。海外旅行では、現地の通信プランを、QRコードの読み取りなどで追加して使うのが一般的です。

通信手段の比較

海外で通信する方法は、eSIMのほかにもいくつかあります。それぞれの特徴を整理しました。

手段仕組み向いている人気をつける点
eSIM対応スマホにプランを追加して使う手軽に設定したい、荷物を増やしたくない人対応機種とSIMロック解除が必要
物理SIM(現地・旅行用)SIMカードを差し替えるeSIM非対応のスマホの人元のSIMの保管、差し替え時の紛失
ポケットWi-Fi持ち歩くルーターに接続する複数人で共有したい人充電と持ち運び、返却の手間
国内キャリアの海外ローミングいつもの契約のまま海外で使う設定を一切したくない人容量・日数・速度の条件がプランごとに異なる

eSIMが向いている人・向いていない人

eSIMには、向き不向きがあります。自分の旅行スタイルに合うかどうかを、先に考えてみてください。

向いている人

  • 対応機種のスマホを使っている
  • 空港でSIMの交換や受け取りの手間をかけたくない
  • 日本の電話番号を残したまま、データ通信だけを現地で確保したい
  • 1人旅や2人旅で、スマホ1台で足りる

向いていない人

  • スマホがeSIMに対応していない、またはSIMロックが解除できない
  • 複数人でデータ通信を共有したい(テザリングの可否は、サービスごとに異なります)
  • 設定の手順に不安があり、窓口で相談しながら進めたい

出発前に確認したい3つのポイント

eSIMを使う前に、次の3点は必ず確認しておきましょう。

①スマホがeSIMに対応しているか

Appleのサポートでは、iPhone XS以降のモデルがeSIMの対象とされています。Androidの場合は、機種によって対応が異なります。電話アプリで「*#06#」とダイヤルして、画面に「EID」と表示されれば、eSIMに対応している目安になります。または、設定の「デバイス情報」などで「EID」の項目を探す方法もあります。

②SIMロックが解除されているか

他社のeSIMを使うには、スマホのSIMロックが解除されている必要があります。Appleのサポートでは、iPhoneの「設定」→「一般」→「情報」を開き、キャリアロックの欄に「SIM制限なし」と表示されていれば、ロックはかかっていないとされています。

SIMロックについては、総務省のガイドラインにより、2021年10月以降に販売される端末は原則としてSIMロックが禁止されました。それ以前に購入した端末では、ロック解除の手続きが必要な場合があります。

③日本の電話番号をどう扱うか

海外用のeSIMは、データ通信専用のプランが多く、電話番号やSMSが使えないことがあります。銀行やアプリの本人確認でSMSが必要になる場合に備えて、日本の回線(本回線)は削除せず、残しておくのが一般的です。iPhoneは2つのeSIMを同時に有効にでき、本回線と旅行用のeSIMを、併用することもできます。

一方で、本回線のデータローミングがオンのままだと、国際ローミングの料金がかかるおそれがあります。Appleのサポートでも、両方の回線が有効な場合は、ローミング料金が発生する可能性があると注意されています。

eSIMの選び方|見るべき項目

eSIMのサービスは数多くあり、料金や仕様はさまざまです。申し込み前に、次の項目を比べてみてください。

項目見方
対象の国・地域旅行先に対応しているか。周遊する国がすべて含まれているか
データ容量と日数滞在日数に合っているか。1日あたりの上限があるか
容量を使い切ったとき速度制限がかかるのか、追加購入できるのか
利用開始のタイミングインストール時から日数が数えられるのか、現地で通信を始めてからか
通信速度・回線4G/5Gの別、現地のどの通信事業者の回線を使うか
テザリングパソコンやほかのスマホとデータを共有できるか
電話番号・SMSデータ通信のみか、SMSなども使えるか
サポート日本語で問い合わせできるか、返金の条件はどうか
口コミ・評判最近の利用者の評価はどうか

値段は、「容量あたり」や「日数あたり」に直して比べると、比較しやすくなります。ただ、安さだけで選ぶと、つながりにくさや、サポートの弱さで困ることもあります。口コミやレビューを確認し、評価の高いサービスから選ぶことをおすすめします。

iPhoneでの設定の流れ

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iPhoneでの設定の流れを、Appleのサポート情報をもとにご紹介します。画面の表記は、iOSのバージョンによって異なります。

設定の手順

  1. 出発前に、自宅のWi-Fiにつないでおきます(設定にはインターネット接続が必要です)
  2. eSIMを購入し、事業者から届くQRコードまたは案内を用意します
  3. カメラでQRコードを読み取ります。「モバイル通信プランが検出されました」という通知が出たら、タップします
  4. 画面の案内に従い、プランを追加します
  5. プランのラベルを、「旅行」など、わかりやすい名前に変更します
  6. 現地に着いたら、旅行用のeSIMを有効にし、モバイルデータ通信に使う回線として選びます

QRコードを使わない方法として、事業者のアプリを使う方法や、「設定」から詳細情報を手入力する方法もあります。

現地に着いたら

旅行用のeSIMを入れておくと、現地に着いたときに、有効にするかどうかの通知が表示されます。旅行用のeSIMだけを使うか、本回線も有効にしておくかを選べます。データ通信に使う回線は、「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」で選びます。本回線のデータローミングは、オフにしておくと、意図しない高額な料金を防げます。

Appleのサポートによれば、iOS 26以降では、帰国すると旅行用のeSIMが自動で無効になるとされています。手動で操作する場合は、本回線が有効になっていることを確認し、使わない旅行用の回線をオフにします。

Androidの場合

Androidのスマホでも、設定画面から、QRコードを読み取ってeSIMを追加できます。ただ、メニューの名前や手順は、機種やOSのバージョンによって異なります。購入先の案内ページに、機種別の手順が載っていることが多いため、あわせて確認してください。

出発前のチェックリスト

  1. スマホがeSIMに対応していて、SIMロックが解除されているか確認する
  2. 行き先と日数に合うプランを、口コミも見ながら選ぶ
  3. 自宅のWi-Fiで、eSIMのインストールを済ませる(利用開始のタイミングは、サービスの案内で確認)
  4. 本回線のeSIMは、削除せずに残す
  5. QRコードの画面を保存し、案内メールもすぐ見られるようにしておく
  6. 本回線のデータローミングを、オフにする
  7. 万一に備え、モバイルバッテリーと、オフラインで見られる地図も用意する

つまずきやすい点と対処

困りごと考えられる原因対処
現地でデータ通信ができない旅行用の回線が選ばれていない、またはデータローミングがオフモバイルデータ通信の回線を確認し、案内に従って旅行用回線のローミング設定を見直す
QRコードを読み取れない通信が不安定、またはQRコードの期限切れ・使用済みWi-Fiで再度試し、事業者のサポートに連絡する
日本のSMSが届かない本回線が無効、または圏外本回線を有効にして、料金への影響を確認したうえで受信する
本回線のeSIMを消してしまった削除の操作再発行には、契約している通信事業者での手続きが必要。事前に削除しないことが大切
通信が遅い、つながりにくい混雑や、提携先の回線の違い機内モードのオン・オフや、再起動を試す

とくに、本回線のeSIMを削除してしまうと、帰国後に、再発行の手続きが必要になることがあります。旅行中は削除せず、オフにするだけにしておきましょう。

購入時の安全面の注意

eSIMはオンラインで購入するため、購入先が信頼できるかどうかを確認しましょう。会社の情報や問い合わせ先、返金の条件が明記されているか、最近の口コミがあるかなどが目安になります。また、メールで届くQRコードや案内は、ほかの人に共有しないようにしてください。クレジットカードの情報は、信頼できるサイトの決済ページでのみ入力しましょう。(この点は一般的な注意です。)

FAQ

Q. eSIMとSIMカードは、どちらが便利ですか?

設定の手軽さでは、物理的な差し替えが要らないeSIMが有利です。一方、eSIMに対応していないスマホでは、SIMカードやポケットWi-Fiを選ぶことになります。

Q. 日本の電話番号は、そのまま使えますか?

本回線を残しておけば、電話番号は維持できます。ただし、海外で本回線を有効にすると、ローミング料金がかかる場合があります。

Q. eSIMはいつ設定すればいいですか?

多くのサービスで、出発前に自宅のWi-Fiでインストールできます。利用開始のタイミングはサービスごとに異なるため、購入先の案内を確認してください。

Q. 帰国後、eSIMはどうすればいいですか?

使い終わったeSIMは、無効にするか、削除します。本回線のeSIMは、絶対に削除しないでください。

Q. 複数の国を周遊する場合は?

周遊する国をまとめて対象にしたプランを選ぶと、手間が減ります。対応国が、旅程のすべてを含んでいるか確認してください。

まとめ

eSIMは、SIMカードの差し替えが不要で、QRコードで手軽に設定できる、便利な通信手段です。ただ、対応機種であることとSIMロックの解除が前提で、日本の本回線の扱いにも気を配る必要があります。出発前に確認すべきことを済ませておけば、現地ではスムーズに使い始められます。

選ぶときは、価格だけでなく、対象の国、容量と日数、使い切ったときの挙動、サポートなどを比べ、口コミも確かめましょう。そして、旅行中は本回線のeSIMを消さず、データローミングをオフにしておくのが安心です。

自分のスマホが対応しているか、確認することから始めてみてください。それだけでも、旅の準備がぐっと進みます。