ベトナム北部の世界自然遺産・ハロン湾。エメラルドグリーンの海に1,600を超える奇岩が浮かぶあの風景を、ハノイから1日で見に行けるのが日帰りツアーです。

ただ、初めての方にとっては「朝から夜までかかると聞くけれど、実際はどんな一日なのか」が見えにくいのも事実ではないでしょうか。

この記事では、実際にハノイ発の日帰りツアーに参加した一日をお伝えします。

ハロン湾日帰りツアー :ダイヤモンドクルーズ【豪華バス】

ハロン湾はベトナム北部のクアンニン省に広がる世界自然遺産で、1994年にユネスコに登録されました。石灰岩が長い年月をかけて浸食され、海に奇岩が散らばる風景から「海の桂林」とも呼ばれています。

個人で訪れることも不可能ではありませんが、現地への移動・乗船手続き・各スポットの入場手配をすべて自分で行うことになります。そのため、ハノイ発の日帰りツアーで訪れるのが一般的です。
ハノイ市街地から往復の送迎バス・クルーズ船・船上ランチ・主要スポットの入場料が含まれるツアーが多く、初めてのベトナムでも一日で完結できます。

私はTrip.comの下記のツアーを申し込みました。
同ツアーはクルーズ船を選択できるのも良いポイントで、6パターンあり、私は金額の高さで言うと上から3番目の「ダイヤモンドクルーズ」を選択しました。

基本情報

項目内容
エリアベトナム北部・クアンニン省ハロン市
ハノイからの距離約150km
移動時間(片道)高速道路経由で約2時間半〜3時間
ツアー総所要時間約12〜13時間(朝7〜8時台出発・夜19〜21時頃帰着)
料金目安英語ガイド:1人40〜60米ドル台/日本語ガイド:1人1万円前後
含まれるもの往復送迎・クルーズ・船上ランチ・主要スポット入場料
ベストシーズン3月〜6月・10月〜11月

※上記は2026年8月時点の情報です。ツアー料金・行程・出発時刻はツアー会社と季節によって大きく異なります。予約前に各ツアー会社の販売ページで最新内容を必ずご確認ください。

ツアーの見どころ

スンソット洞窟(★★★★★)

今回のツアーで最も私自身が驚かされた場所です。
ハロン湾は海上の奇岩が有名ですが、ライトアップされた広大な洞窟は別の見ごたえがあります。

ティトップ島の展望台(★★★★☆)

丘の上の展望台から、奇岩が散らばるハロン湾の全体像を俯瞰できます。
ただし自由時間(約45分)が短く、丘に登るかビーチで過ごすかを選ぶ必要があります。

ルオン洞のカヤック(★★★★☆)

小さな洞窟をくぐった先に、360度を奇岩に囲まれた静かな水域が広がります。
大型のクルーズ船からは味わえない、水面すれすれの視点が魅力です。

船上のシーフードビュッフェ(★★★☆☆)

奇岩を眺めながらの食事もツアーの楽しみのひとつです。
ただし食べ放題ではない点に注意が必要です(後述)。

体験レポート

ここからは、実際の一日を時系列でお伝えします。

朝8時、ハノイ歌劇場前を出発

集合場所はハノイ歌劇場前。同じようにツアーに参加すると思われる人たちが多く集まっていて、この時点で「人気の行き先なのだ」と実感します。

バスは今回選んだプランがグレードの高いコースだったため、ソファのような座り心地でした。片道3時間近く乗ることを考えると、ここに投資する価値は十分にあります。

途中のサービスエリアで休憩

移動の途中、土産物店を併設したサービスエリアでトイレ休憩が入ります。
今回立ち寄った場所は竹製品の販売が中心で、食事ができるスペースもありました。

正直に言えば、買い物としての魅力はそれほど感じませんでした。
購入を強制されることはないので、休憩と割り切って過ごすのがよいと思います。

港到着から乗船まで

バスを降りた場所は港の建物の入口で、この時点ではまだ湾は見えません。
建物の中でガイドから説明を受け、その先の港に抜けます。

そこには多くのクルーズ船がずらりと並んでいました。
船の種類の多さ、そしてツアー客の多さに、まず圧倒されます。
正直、最初はどの船に乗るのか分からないほどでしたので、ガイドから離れないことが大切です。

乗船、そして船上ランチ

乗り込んだ船は3階建てで、屋内の客席のほかに上の階に出られるデッキがありました。屋内にいるとどうしてもガラス越しの景色になりますが、デッキに出れば避けられます。記念撮影や動画を撮るなら、デッキの有無は大きな違いになります。

船自体も広く、人で混み合うことはありませんでした。

出航後まもなく、シーフードビュッフェの昼食です。ここで想定外だったのが、ビュッフェ形式ではあるものの食べ放題ではありませんでした
料理の補充がなく、出された分を全員で分け合う形なので、食事のタイミングが遅いと選べる料理が残っていません。景色の撮影に夢中になっていたところ、食事をほとんど取れませんでした。

なおドリンクは別料金で、1杯600円前後。ベトナムの物価からすると高めですが、観光地価格としては安い方といえます。

ティトップ島 — 45分をどう使うか

最初の上陸地はティトップ島です。小さなビーチを持つ島で、海と奇岩が重なる景色は圧巻でした。

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1962年にホー・チ・ミン主席と旧ソ連の宇宙飛行士ゲルマン・チトフが訪れたことから、チトフ(Ti Top)の名前が付けられました。島内にはチトフの銅像もあります。

ここで直面するのが時間配分の問題です。自由時間は45分ほどしかありません。 丘の上の展望台に登るか、ビーチでゆっくり過ごすか、上陸した時点で決めておく必要があります。

私は丘の上に登りました。階段は約400段あるそうです。
ただし階段は幅が狭く両方向の通行があるため、混雑時は譲り合いが必要でした。

山頂に展望ポイントがあり、360度、湾を見渡せます。また展望ポイントによっては木が重なる位置もあり、ズーム機能を使うなど工夫しないと思ったように撮影できないこともありました。

おすすめは先に丘へ登り、降りてからビーチで写真を撮る順番です。

この順なら両方を楽しめますが、ビーチで泳ぐ時間までは確保できません。

ルオン洞のカヤック — 水面から見上げる奇岩

船に戻り、次はカヤック体験です。自分で漕ぐカヤックか現地スタッフが漕ぐ竹製ボートか、有料のスピードボートで遠くまで行くか選択できました。
私は竹製のボートを選択しました。スタッフが漕いでくれるため、写真撮影に集中できるためです。

小さな洞窟をくぐり抜けると、360度を奇岩に囲まれた静かな水域に出ます。この瞬間の開放感は、大きなクルーズ船の上からは決して味わえないものでした。水面すれすれの高さから岩を見上げるので、スケール感の伝わり方がまったく違います。

ガイドがゆっくりと周ってくれるため、写真撮影の時間も十分にありました。

ひとつ気づいた点として、竹製ボートは10人程度で乗船するため、座る位置によって前の人が画面に入りやすくなります。写真をしっかり残したい場合は、乗り込む際の位置取りを意識しておくとよいでしょう。

スンソット洞窟 — 広大な洞窟を歩く

最後に訪れたのが鍾乳洞です。

内部は想像以上に広大で、ライトアップされた鍾乳石の美しさに圧倒されます。滞在は50分ほど。洞窟の中では、ガイドが岩の形について英語で解説してくれました。

写真の映えるポイントも教えてくれるので、教えてもらえない場合はこちらから尋ねてみるとよいと思います。

内部は階段の上り下りがあり、最後は洞窟の上側に抜ける構造になっています。外に出た瞬間に景色がぱっと広がる演出になっていました。

ハロン湾といえば海上の奇岩ばかりが取り上げられますが、この洞窟は間違いなく見る価値があります。

帰港、そしてハノイへ

夕方、港に戻ります。帰港前の夕焼けは、この日は曇っていたこともあってあまりきれいには見えませんでした。またそれほど暗くなる前に戻ってきたため、下船時はまだ明るい時間帯でした。

帰りのバスは市内のホテルを巡りながら進み、歌劇場前に着いたのは19時20分頃でした。夕食には十分間に合いますが、土産を探す時間はほとんど残りません。
ハロン湾ツアーの日は一日がかりと考え、買い物は別の日に回すのが現実的です。

観光に向けたアドバイス

訪れる前に知っておきたいこと

持ち物と服装

項目ポイント
歩きやすいスニーカーが必須です。洞窟内と島の石段は濡れて滑りやすくなっています
服装動きやすく通気性のよいものを。丘の登り降りで汗をかきます
羽織りもの船上は風が強いため、季節を問わずあると安心です
日焼け止め・帽子デッキは日陰が少なめです
現金ドリンク代・土産・チップ用に少額のドンを
酔い止めバスも船も長時間です。心配な方は必携で

食事は先に確保する

前述の通り、船上のビュッフェは料理の補充がありません。撮影は食後に回し、まず食事を確保することをおすすめします。

こんな人におすすめ

  • ベトナムに初めて行く方:送迎・食事・入場料が含まれ、手配の手間がありません
  • 限られた日程で世界遺産を見たい方:1日で奇岩・洞窟・カヤックをすべて回れます
  • 写真や動画をしっかり撮りたい方:デッキ付きの船を選べば自由に撮影できます
  • 洞窟や自然地形に興味がある方:海上の景色だけでなく、地下の景観も楽しめます

一方で、一日をゆったり使いたい方や、長時間のバス移動が負担になる方には、日帰りではなくハロン市に1泊するプランのほうが向いています。

まとめ

ハロン湾の日帰りツアーは、朝8時に出て夜19時半~20時頃に戻る、確かに一日がかりの行程です。それでも参加する価値があると感じたのは、同じ風景を海上・水面・丘の上という三つの高さから眺められるからでした。クルーズ船のデッキから見る奇岩、カヤックで見上げる岩、展望台から俯瞰する全体像は、どれかひとつだけでは味わえないものです。

そして予想外だったのが鍾乳洞でした。ハロン湾といえば海の奇岩ばかりが取り上げられますが、ライトアップされた広大な洞窟はまったく別の見ごたえがあり、このツアーの満足度を大きく高めてくれました。

注意したいのは、ツアーの種別によって体験の質がかなり変わることです。
デッキの有無、上陸する島の数、カヤックが含まれるかどうか。安さだけで選ばず、含まれる内容を確認してから予約することをおすすめします。それさえ押さえておけば、ベトナム旅行のハイライトになる一日になるはずです。