「時が止まった王朝の都」
バンコクから電車でたった1〜2時間。そこには、約400年にわたってアジア交易の中心として栄えた古都アユタヤが静かに息づいています。仏塔の隙間から覗く澄んだ青空、木の根に絡めとられた仏頭、かつて黄金に輝いていたはずの寺院の残骸――ここはただの観光地ではなく、栄光と滅亡の歴史をそのまま体で感じられる場所です。
1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されており、歴史好きはもちろん、写真好き、バックパッカー、家族旅行者まで、あらゆる旅行者に「来てよかった」と言わしめるスポットです。バンコクのバタバタした喧騒から離れ、ここだけにしかない静謐な時間を体験しに行きましょう。
関連記事
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | タイ・アユタヤ県プラナコーンシーアユタヤ郡(バンコク北約80km) |
| 入場料(主要遺跡) | 各寺院50バーツ前後(約200円)。複数寺院を回る場合は合計200〜300バーツが目安 |
| 営業時間 | 主要寺院:8:00〜18:00(ライトアップは18:00〜22:00頃) |
| 目安の所要時間 | 主要4〜5遺跡を巡る場合:4〜6時間(日帰り十分可) |
絶対に外せない!見どころ5選
① ワット・マハタート―アユタヤの「顔」、木の根に眠る仏頭
アユタヤといえばこの写真、と言っても過言ではない超定番スポット。1374年建立の大寺院ですが、ビルマ軍の侵攻で破壊され、切り落とされた仏頭が長い年月をかけて菩提樹の根に取り込まれ、今では木と仏頭が一体化した神秘的な光景が広がっています。廃墟の中に漂う静けさは、言葉では表現しきれません。入場料は50バーツ。
② ワット・プラシーサンペット―3基の仏塔が並ぶ、最も格式高い王室寺院
1491年の建立以降、宮中儀式が執り行われてきたアユタヤ最重要の王室寺院。 東西に整然と並ぶ3基の白い仏塔が圧巻で、アユタヤを代表する”絵になる”スポットです。夜にはライトアップされ、昼とはまったく異なる幻想的な顔を見せます。かつてはここに高さ16mの純金の仏像が立っていたと聞けば、王朝の豪華絢爛さが想像できます。
③ ワット・チャイワッタナラーム―夕暮れに最も美しい川岸の遺跡
プラサート・トーン王が母を追悼して1630年に建てた寺院で、カンボジアのアンコール・ワットに似た建築様式が特徴。 チャオプラヤー川沿いに立ち、夕焼けに赤く染まるシルエットはアユタヤ随一の絶景。写真派の人は絶対に夕方に訪れてほしいスポットです。
④ ワット・ヤイチャイモンコン―高さ72mの仏塔に登れる!
1357年に初代ウートン王がセイロンからの修行僧のために建てた寺院で、高さ72mの仏塔はビルマ軍との戦いに勝利した記念に建てられました。 塔内に入って階段を登ることができ、頂上には8体の仏像が安置されています。境内には横たわる白い涅槃像もあり、一か所でさまざまな仏教美術が楽しめます。
⑤ 日本人町跡―江戸時代、日本人がここに生きていた
16世紀初めに御朱印船貿易の日本人たちが築いた集落で、最盛期には2,000〜3,000人以上が暮らしていました。当時の町長・山田長政はタイ王から官位を授かるほどの活躍を見せ、2007年には日タイ修交120周年記念館も設立されています。 「まさかタイに日本人の歴史があったとは」と驚くこと間違いなし。
「知るともっと面白い」小話
仏頭はなぜ木の根に埋まっているのか? 実は「偶然」ではないかもしれない
ワット・マハタートの有名な仏頭は、1767年のビルマ軍侵攻の際に切り落とされたものです。ところが、「なぜあの場所だけあそこまで根に絡まれたのか」は正確にはわかっていません。一説には、地元の人が仏頭を守るために木の根元に置いたという話もあります。数百年という時間をかけて木が静かに仏頭を抱きしめた――そう思うと、この光景がより神聖なものに見えてきませんか? なお、撮影する際は仏頭より自分の頭を低くするのが礼儀とされているので要注意です。
成功するための「攻略・裏ワザ」
時間帯の選び方が9割
アユタヤは屋外遺跡ばかりのため、日中は直射日光がかなり強烈です。おすすめは朝8〜10時に遺跡を攻め、午後の暑い時間帯(12〜14時)は日陰のカフェや博物館で休憩、そして16〜17時にチャイワッタナラームへ向かって夕焼け遺跡を狙うルートです。
ベストな撮影角度
ワット・マハタートの仏頭は午前中に順光で正面から撮るのが基本。ワット・チャイワッタナラームは対岸からボートで眺める構図も美しく、川沿いのテラスから狙うのがプロ技です。
注意点まとめ
寺院内は肌の露出が多い服装NG(ノースリーブ・ミニスカートは×)。ストールを持参しておくと安心です。遺跡内は砂埃が多いため、汚れてもいいスニーカーで訪問を。スリ被害の報告が出ているワット・ヤイチャイモンコンの塔内は、貴重品をしっかり管理しましょう。
セットで楽しむ「周辺グルメ・寄り道」
① 川エビグリルのリバーサイドレストランでランチ
アユタヤ名物はなんといっても、チャオプラヤー川で獲れる巨大な川エビのグリル(クン・パオ)。川沿いのオープンエアのレストランで絶景とともに食べる豪快な一皿は、バンコクでは味わえないローカル体験です。駅周辺の川沿いエリアに数店が並んでいます。
② ローティ・サイマイでアユタヤみやげ
薄いクレープ生地にカラフルな綿菓子(糸状のもの)を包む「ローティ・サイマイ」は、アユタヤ発祥のご当地スイーツ。道路沿いの露店や「ロティサイマイ・アビジン」などの専門店で気軽に購入でき、見た目もユニークでお土産にも最適です。
アクセス・行き方
バンコクからアユタヤへのアクセスは主に3通り。最も安くて雰囲気があるのは**タイ国鉄(列車)**で、バンコクのクルンテープ・アピワット中央駅(旧フアランポーン)から出発し、料金は列車の種類によって20〜204バーツと幅があります。 所要時間は約1時間30分〜2時間。
速くて手軽なのは**乗り合いバン(ロットゥー)**で、BTSモーチット駅近くの北バスターミナルから頻発しており、所要約1時間30分、料金は約60〜70バーツです。
アユタヤの駅に着いてからが問題で、遺跡は島全体に点在しています。国鉄アユタヤ駅前のレンタサイクル店では1日50バーツほどで借りられ、自分のペースでのんびり回れます。トゥクトゥクのチャーターは1時間200〜300バーツが目安。 迷いやすいのは駅から川を渡った後の遺跡エリアの位置関係なので、事前にGoogleマップで「アユタヤ歴史公園」周辺をダウンロードしておくのがおすすめです。
まとめ
アユタヤは「ついでに行くスポット」ではなく、それだけで旅のハイライトになり得る場所です。木の根に抱かれた仏頭、黄金色に染まる夕暮れの遺跡、そしてこの地に生きた日本人の歴史――どれも、スマホの画面越しではなく、実際に立って体で感じてほしい体験ばかりです。バンコク滞在中に「もう一日あるけどどうしよう」と思ったなら、迷わずアユタヤ行きの電車に乗ってください。きっと、旅のいちばんの思い出になります。
Sonnet 4.6