「昼はノスタルジック、夜はファンタジー。一つの街で二度おいしい古都」
ベトナム中部の小さな港町ホイアンは、16世紀から東西貿易の中継地として栄え、日本・中国・ヨーロッパの文化が溶け合った唯一無二の街並みが今も残っています。1999年にユネスコ世界文化遺産に登録されたこの古都は、レモンイエローの建物が連なる路地を昼に歩けばタイムスリップしたような郷愁を覚え、夜になれば無数のランタンが灯ってまるで絵本の中に迷い込んだような幻想的な光景が広がります。
ダナンからわずか車で30〜40分というアクセスの良さ、物価は日本の約3分の1、治安も比較的良好。「東南アジアの世界遺産を気軽に、でも深く楽しみたい」という方にとって、ホイアンはまさに理想の旅先です。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | ベトナム中部・クアンナム省(ダナンから南へ約30km) |
| 旧市街の入場 | 散策・食事・写真撮影のみの個人旅行者は無料。歴史的建造物の見学には観光チケットが必要(5枚綴り120,000VND/約750円で、22カ所の施設から5カ所に入場可能) |
| チケット販売時間 | 8:00〜17:00頃(販売所は旧市街内に約10カ所) |
| 観光の目安所要時間 | 半日〜1日(旧市街のみ)。ダナンから日帰りも可能。じっくり楽しむなら1泊以上推奨 |
| ベストシーズン | 3月〜5月(乾季で気温も穏やか)。9〜11月は雨季で旧市街が浸水することも |
| 通貨 | ベトナムドン(VND)。現地ATMでのキャッシングやUSドルも一部利用可 |
絶対に外せない!厳選「見どころ」5選
① 来遠橋(日本橋)── ホイアンのシンボルを歩いて渡る
ベトナムの2万ドン紙幣の裏面にも描かれているホイアン最大のアイコン。1593年にこの地に暮らしていた日本人によって建造されたと伝わる屋根付きの橋で、全長約18〜20m。旧中国人街と旧日本人街を結んでいました。橋の中央には航海の安全を祈願する小さな祠があり、ここへの参拝には観光チケットが1枚必要です。橋を渡るだけなら無料。夜のライトアップは毎晩18:00〜22:00頃で、昼間とはまったく異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。
② 福建会館 ── 華僑文化の粋を体感
チャンフー通り沿いにある、ホイアンで最も規模の大きい中国人会館の一つ。17世紀に福建省出身の華僑が建てた集会所兼寺院で、極彩色の門構え、渦巻き型の線香が天井から吊るされた堂内、航海の守り神・天后聖母の祭壇など見どころが凝縮されています。中華様式の庭園や鮮やかな装飾は写真映え抜群。営業時間は7:00〜17:00頃、所要約15分。
③ ナイトマーケット ── ランタンの海に溺れる夜
トゥボン川にかかるアンホイ橋を渡った先のアンホイ島と、旧市街のバクダン通りの2カ所で毎晩18:00頃から開催。アンホイ島側はランタンや雑貨などのお土産屋台が中心、バクダン通り側はローカルフードの屋台がメインです。ホイアン名物のランタンは購入もでき、最初は観光客価格を提示されるので値段交渉を楽しんでみてください。灯籠流しも体験可能で、川岸の売り子から灯籠を購入して自分の手で流すことができます。
④ フーンフンの家(馮興家)── 200年の暮らしを覗く古民家
来遠橋のすぐ近くにある約200年前の貿易商人の邸宅。ベトナム・中国・日本の3カ国の建築様式が融合した木造2階建てで、現在も8代目の子孫が暮らしながら建物を公開しています。水害対策として天井から荷物を運び出せる構造など、トゥボン川のほとりに暮らす知恵が詰まった造り。2階のバルコニーから旧市街の街並みを一望できるのもポイントです。
⑤ ランタン祭り(毎月旧暦14日)── 満月の夜だけの特別な光景
毎月旧暦の14日(満月の夜)の19:00〜21:00頃、旧市街の街灯が消され、ランタンと満月の明かりだけが街を照らす「オールドタウンナイト」が開催されます。もともとは死者を弔う風習として始まったもの。トゥボン川には灯籠が流れ、川沿いでは踊りや演奏も行われます。旅程が合うなら、この日に合わせて訪れる価値は十分にあります。
「知るともっと面白い」小話
ホイアン名物の麺料理「カオラウ」は、実は日本の伊勢うどんがルーツだと言われています。16〜17世紀にホイアンに住んでいた日本人商人が伝えたとされ、太めのもちもちした米麺に甘辛いタレを絡めて食べるスタイルは、確かに汁なし伊勢うどんを彷彿とさせます。さらに、カオラウの麺はホイアンの特定の井戸水を使わないと独特の食感が出ないとされており、ベトナム国内でもホイアン以外ではほぼ食べられない”門外不出”のご当地グルメなのです。
成功するための「攻略・裏ワザ」
空いている時間帯を狙う: 旧市街が最も混雑するのは16:00〜21:00のランタンが灯る時間帯。歴史的建造物をゆっくり見学するなら、午前中(8:00〜10:00頃)が断然おすすめです。ホイアン市場も早朝の方が活気があり、新鮮な魚や野菜が並ぶローカルな雰囲気を味わえます。
ベスト撮影スポットと角度: 来遠橋は夜のライトアップ時、橋の南側(トゥボン川沿い)から撮ると、水面に映り込むリフレクションが美しい一枚に。ナイトマーケットのランタンは、アンホイ橋の上から旧市街方面を振り返るアングルが鉄板です。
旧市街は夕方から歩行者天国に: 夕方以降、旧市街エリアは車・バイクの通行が制限され、自転車・徒歩・シクロのみに。この時間帯は街歩きが格段に快適になります。
注意点: スリやひったくりが増加傾向にあるため、スマホやカメラの管理には気をつけましょう。旧市街内では「入場料が必要」と声をかけてお金を要求する人がいる場合がありますが、個人で散策するだけなら旧市街への入場は無料です。観光チケットは正規の販売所で購入しましょう。
セットで楽しむ「周辺グルメ・寄り道」
🍞 Banh Mi Phuong(バインミー・フォン)
アメリカの人気旅番組でも絶賛された、ホイアンで最も有名なバインミーの名店。カリッとしたフランスパンに野菜やハム、パクチーを豪快に挟んだボリューム満点の一品が約30,000VND(約180円)から。昼時は地元民と観光客で大行列になるので、少し時間をずらして訪れるのがコツです。旧市街のチャンフー通りから徒歩圏内。
☕ Hoi An Roastery(ホイアン・ロースタリー)
ベトナム各地のコーヒー農園から厳選した豆を自家焙煎するスペシャルティコーヒー店。旧市街のバクダン通り沿いにあり、川を眺めながらエッグコーヒーやベトナムコーヒーを楽しめます。古民家を改装した温かみのある空間は、街歩きの休憩にぴったり。日本人旅行者の評価も高い人気店です。
アクセス・行き方
ホイアンには空港がないため、最寄りのダナン国際空港を利用します。
ダナン国際空港から: タクシーまたはGrabで約40〜50分。料金の目安は400,000〜500,000VND(約2,000〜2,500円)。事前にGrabアプリをインストールしておくとぼったくりの心配がなく安心です。
ダナン市内から: タクシーで約30〜40分。路線バスも運行しており、約50分で到着しますが、本数が限られるためタクシーが無難です。
迷いやすいポイント: ホイアン旧市街にはバスターミナルから徒歩約15分。旧市街は明確なゲートや入口があるわけではなく、街の広い一区画が世界遺産エリアになっています。チャンフー通り(Tran Phu Street)を目印にすれば、主要な観光スポットはほぼ徒歩圏内に集まっています。
帰りの足も忘れずに: 夜までホイアンを楽しむ場合、帰りのタクシーを行きの運転手に頼んでおくか、Grabを利用すると安心。深夜になるとつかまりにくいことがあります。
まとめ
ホイアンは「世界遺産だから行く」場所ではなく、「行けば自然と心がほどける」場所です。黄色い壁の路地を気ままに歩き、ランタンの灯りに包まれながらカオラウをすすり、気づいたら半日が過ぎている──そんなゆるやかな時間の贅沢がここにはあります。
ダナンから日帰りもできますが、できれば1泊して、昼と夜のまったく違う二つの顔を両方味わってみてください。きっと「また来たい」と思う街になるはずです。