※本記事の料金・制度情報は2026年9月時点のものです。交通料金は改定があるため、渡航前に公式サイトでの確認をおすすめします。
「シンガポールのMRTやバスは、手持ちのクレジットカードをタッチすればそのまま乗れる」。この認識は正しいです。EZ-Linkカードをわざわざ買わなくても、Visa・Mastercard・American Expressのタッチ決済対応カードが1枚あれば、入国直後からすぐに電車やバスに乗れます。
ただしこの便利さの裏には、意外と知られていない落とし穴があります。今回は、MRT・バス・タクシー・Grabの4つに絞って、実際の乗車・降車の流れや料金の注意点を、公式情報も交えてご紹介します。
MRT(地下鉄)の基本の乗り方
流れはシンプルで、改札口のカードリーダーにタッチして入場(タップイン)→乗車→降車駅の改札口で再度タッチ(タップアウト)。切符は不要です。
ドアが開いたらまず降りる人を先に通してから乗り込むのがマナーです。プラットホームには列の目印が床に描かれているので、ドア位置の両脇に並んで待つとスムーズです。エスカレーターは公式には「両側に立つ」キャンペーンに切り替わっていますが、実際には左側に立ち右側を歩く人のために空ける慣行も根強く残っていますので、周囲を見て判断するのが無難です。
海外発行カードはまれに改札機で読み取りエラーになることがあります。不安な方は少額の現金を持ち、有人改札口での対応方法も知っておくと安心です。
最重要!タップイン・タップアウトは必ず同じカードで

ここが、今回の記事で一番伝えたいポイントです。LTA(シンガポール陸上交通庁)がわざわざ公式に注意を呼びかけているルールがあります。
乗車時と降車時では、必ず同じカード(デバイス)でタッチしてください。 行きはAカード、帰りはBカード、といった使い方をすると、リーダーはそれを別々の取引として認識してしまいます。その結果、タップインしたカードは「降車記録がない」、タップアウトしたカードは「乗車記録がない」不完全な取引となり、それぞれに一律最高運賃(MRTは2.30シンガポールドル)が請求され、合計で二重に支払うことになってしまいます。
旅行中にありがちなケースとしては、自分はカードでタップインしたのに降車時はスマホのApple Pay/Google Pay(同じカードを登録済みでも別デバイス扱い)でタップアウトしてしまう、家族や友人との旅行中にうっかり他の人のカードで降車タッチしてしまう、といったものがあります。万一違うカードでタップしてしまった場合は、「SimplyGo」アプリで履歴を確認し、返金申請を行うことができます。
バスは本数が多く、実は使いやすい
「バスは複雑そう」と敵遠されがちですが、シンガポールのバス網は非常に発達しており、主要路線は数分〜10分程度の間隔で運行されています。待ち時間をあまり気にせずに使えることが多いです。MRT駅から離れたエリアへの移動や、短中距離の移動では、タクシー・Grabより安く、MRTより柔軟にアクセスできる便利な選択肢です。
乗り方・降り方: 日本のように自動でドアが開くわけではなく、バス停で手を上げて運転手に合図を送り、バスを止める必要があります。乗車口(前面)のカードリーダーにタッチして乗り込みます。降りたい停留所が近づいたらボタンを押して降車合図を出し、降車口(後方)のカードリーダーに必ずタッチして降ります。この降車時のタッチを忘れると、その路線の終点までの運賃が請求されてしまう可能性があります。
リアルタイム到着情報を活用しましょう: バス停によっては、あと何分で目的のバスが来るかを表示する電光掲示板があります。掲示板がないバス停でも、「MyTransport.SG」や「BusRouter SG」などのアプリ・サイトでバス番号ごとの到着予測時刻をリアルタイムで確認できます。
Googleマップも心強い味方です: 経路検索(公共交通機関モード)を使えば、乗るべきバス番号・乗車バス停・経由するバス停・降りる停留所が一目で分かります。乗車中も現在地をリアルタイムで確認できるので、降りるタイミングを逃しにくくなります。ただし到着予測時刻は専用アプリより誤差が出ることがあるので、正確な待ち時間を知りたいときは併用がおすすめです。
車内でのマナー・禁止事項
MRT・バスの車内では飲食(水を飲むだけでも不可)が禁止で、違反すると最大500シンガポールドルの罰金対象とされます。ドリアンの持ち込みも完全に禁止です。
先進のような優先席はありませんが、高齢者や小さな子ども連れに席を譲るマナーが日本以上に彻底されているという声もあります。大きなスーツケースやベビーカーは、可能であればラッシュアワー時間帯(平日の朝夕)を避けると周囲に配慑できます。
タクシーの最新料金

タクシーの初乗り運賃は、以前は「目安約3.90シンガポールドル」という情報が多く見られましたが、これはすでに古い情報です。ComfortDelGro(シンガポール最大手)の公式サイトで確認した現在の料金は以下の通りです。
| 車種 | 初乗り運賃(最刑1km) |
|---|---|
| 通常の4人乗り(ハイブリッド) | 4.60シンガポールドル |
| EV・6人乗り | 4.80シンガポールドル |
| リムジンキャブ | 5.50シンガポールドル |
その後は400mごとに0.27シンガポールドルが加算されます。これに以下の割増料金・サーチャージが重なることがあります。
| 割増・サーチャージ | 適用時間帯 | 金額 |
|---|---|---|
| ピーク時間帯 | 平日6:00〜9:29/毎日17:00〜23:59/土日祝10:00〜13:59 | メーター運賃の25% |
| 深夜 | 毎日0:00〜5:59 | メーター運賃の50% |
| チャンギ空港発 | 17:00〜23:59/それ以外 | 8.00ドル/6.00ドル |
| クレジットカード支払い | 常時 | 運賃の10%の事務手数料 |
※他社(SMRT・Premier・Prime等)は多少金額が異なります。乗り方はホテル・モールのタクシースタンドで列に並ぶか、配車アプリを利用します。チップは不要です。
Grab(配車アプリ)の使い方・注意点
Grabは東南アジア全域で展開するシンガポール最大の配車アプリで、日本語にも対応しています。出発前に日本でアプリをダウンロードし、クレジット/デビットカードの登録まで済ませておくと、現地でのセットアップの手間がありません。
市内の短距離で約5〜10シンガポールドル、チャンギ空港から市内中心部で約25〜45シンガポールドルが目安です。深夜帯や人気観光地での利用はサージ価格で高くなりやすい点に注意しましょう。配車から決済までアプリ内で完結するため、安定したインターネット接続(eSIM等)が不可欠です。道が混雑して到着が大幅に遅れる場合など、ドライバー側からキャンセルされることもまれにありますが、料金が予約時に事前確定するのでメーター制の一般タクシーのような不安はありません。
何を使う?シーン別の使い分け

| 場面 | おすすめ |
|---|---|
| 主要観光エリア間の移動(渋滅回避・安さ重視) | MRT |
| MRT駅から少し離れたホテル・スポットへのアクセス | バス or Grab |
| 大きなスーツケース・ベビーカーなど荷物が多い時 | タクシー or Grab |
| 深夜・空港送迎 | Grab(事前料金確定で安心) |
初心者には「基本はMRT、荷物が多い日や雨の日、深夜はGrab」という使い分けが分かりやすくおすすめです。
まとめ
シンガポールの交通は、世界的にも使いやすい部類に入ります。だだし「タップイン・タップアウトは必ず同じカード」というルールや、バスの降車ボタンを押し忘れなど、日本の感覚とは少し違うルールもあります。この記事でご紹介したポイントを押さえておけば、初めての方でも安心して移動を楽しめるはずです。